農業に興味があるけど、専業農家になるのは不安な方は多いです。専業農家として生計を立てるのはリスクがありますが、兼業農家では現在の仕事を続けながら低リスクで農業に取り組めます。この記事では、兼業農家のメリットやデメリット、始め方や成功のポイントについて解説します。
兼業農家になれば、自給自足に近い生活や収入源の多様化が実現可能です。記事を参考に、兼業農家への第一歩を踏み出してください。
兼業農家とは農業と他の職業を両立している農家
兼業農家とは、農業と他の職業を両立している農家のことです。
兼業農家について、次の2つを押さえましょう。
- 兼業農家の定義
- 第一種と第二種の違い
兼業農家の定義
兼業農家とは農業と他の職業を両立しながら生活する農家を指し、主な収入を農業以外の仕事で得ている方が該当します。農業所得が全所得の50%未満であることが、兼業農家の一般的な基準です。兼業農家には正社員だけでなく、自営業やパートタイムで働いている方も含まれます。
農業は天候や市場の影響を受けやすいため、収入を農業だけに頼るのはリスクが高いです。農業だけでは生活が成り立たず、他の仕事を掛け持ちして収入を安定させているケースも多くあります。地方公務員として働きながら休日に農業を行う方や、会社員の仕事が終わった後に家族と一緒に農作業をする方が一般的です。
兼業農家には農業と別の収入源を確保することで生活が安定するメリットがあります。他の仕事を通じて得られる技術や知識、人脈が農業に役立ちます。
第一種と第二種の違い
第一種兼業農家と第二種兼業農家の違いは、主に収入の割合と農業へのコミットメントの度合いです。
違いは以下のとおりです。
項目 | 農業の年間総収入 | 主な収入源 | 農業に費やす時間 | 農業規模 |
第一種兼業農家 | 50%以上 | 農業 | 多い | 大きい |
第二種兼業農家 | 50%未満 | 他の職業 | 少ない | 小さい |
第一種兼業農家は、農業の年間総収入が50%以上であることが条件になります。農業に費やす時間も多く、規模も大きいです。大規模な農地を持ち、農作物の生産や畜産を主な収入源としている農家が該当します。
第二種兼業農家は、農業の年間総収入が50%未満であることが条件です。主な収入源は他の職業で、農業は副業として取り組んでいる方が該当します。平日は会社員として働き、休日や空き時間に小規模な農地で野菜を栽培するような方が多いです。
専業農家との違い
専業農家と兼業農家の大きな違いは、生計の立て方と農業に費やす時間にあります。専業農家は農業のみで生計を立てており、農作業に専念できる時間が多いです。大規模な農地を持ち、豊富な農業技術や知識を持っています。兼業農家は別の職業と農業を両立しているため、農業に費やす時間が少なくなります。
所有する農地も小規模なことが多く、農業収入は副収入の場合が多いです。
兼業農家のメリット
兼業農家の主なメリットとして、次の3つが挙げられます。
- 自給自足に近い生活ができる
- 仕事と両立できる
- ビジネス拡大の可能性がある
自給自足に近い生活ができる
兼業農家は、自給自足に近い生活ができるのがメリットです。自分が育てた新鮮でおいしい野菜や果物を収穫できるため、健康的な食生活を送れます。余った食材をジャムやピクルスなどの保存食に加工すれば、長期にわたって食材を楽しめます。家畜や鶏を飼育し、肉や卵を自給できるのも魅力です。
買い物の頻度が減り、食費も節約できます。化学肥料や農薬を使わない有機農業を行うと、家族の健康維持にも貢献できます。自給自足に近い生活をするためには一定の労力や知識が必要ですが、得られる満足感や安心感も大きいです。自分が育てた食材で作った料理の味は格別です。
仕事と両立できる
テレワークやフレックスタイム制を導入する企業が増えたことで、農業は仕事と両立できるものになりました。休暇や週末を活用すれば、仕事と家庭のバランスを取りながらの農作業が可能です。体を動かす農作業は、健康維持や仕事のストレスを軽減させる効果も期待できます。
家族と一緒に農作業を楽しむことで、家族の絆を深める良い機会になります。収入源が増えるのも魅力的です。収入源が複数になればリスク分散ができ、経済的な安心感が増します。
ビジネス拡大の可能性がある
兼業農家にはビジネス拡大の可能性があります。
主なビジネスチャンスは以下のとおりです。
- 農産物のブランド化
- 直販やオンライン販売
- 観光農園
- 地域との連携
- 加工品の製造販売
農産物をブランド化して付加価値を提供すれば、他の農家と差別化ができて高価格で販売できます。直販やオンライン販売による販路拡大も可能性の1つです。中間業者を挟まずに消費者へ直接販売できるため、利益率が向上します。観光農園は農業を体験したい都市部の人々に人気があり、集客につながります。
地域と連携した新たなビジネスチャンスも見逃せません。地域の特性を活かした共同プロジェクトやイベントを開催することで、地元の活性化に貢献できます。加工品は付加価値が高いので、収益の増加が可能です。消費者のニーズに合った作物を作れば、市場での需要が高まります。環境に配慮した持続可能な農業の実践も効果的です。
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兼業農家のデメリット
兼業農家のデメリットは次の3つです。
- 初期投資が高額になる
- 時間と労力が必要になる
- 収益が安定しない可能性がある
初期投資が高額になる
兼業農家を始めるには、高額な初期投資が必要になります。
初期投資に必要なものは、以下のとおりです。
- 地代
- 設備費
- 資材費
- 人件費
- 建設費
- メンテナンス費
- 研修費
最も負担が大きいのは、農地の購入または賃貸費用です。農地費用は地域や土地の状態によって異なりますが、簡単に買える金額ではありません。農機具や設備の購入費用も高額になります。トラクターや耕運機、散水システムなどは農業の必需品です。作物の種や苗、肥料の資材を購入すると費用は増えます。
購入した土地を栽培に適した農地へ整備するためには多くの人手が必要です。農業用建物や倉庫の建設費用も大きな出費です。収穫物の保管スペースや、作業効率を上げるための施設も必要になります。道具や機械の定期的なメンテナンス費用も考慮しなければなりません。
毎日使う農業機械のメンテナンスは避けては通れないコストです。専門知識や技術を習得するための研修費用も外せません。
時間と労力が必要になる
農作業は多くの時間と労力を要する仕事です。兼業農家を始める際は、決して楽な仕事ではないことを理解しておきましょう。農作業は作物の管理や土壌の状態確認など、毎日一定の時間を割かなければなりません。収穫時期には早朝から夜遅くまで働くことも多く、体力的な負担が大きいです。
作業の準備や計画にも時間がかかります。道具や機械のメンテナンスも不可欠です。休日を取れない状況も起こり得るため、別の仕事との両立が難しい場合もあります。
収益が安定しない可能性がある
農業は収入が安定しない可能性があります。市場価格に左右され、収益が大きく変動しやすいからです。作物の価格が急落すると、予期せぬ収入減少が発生します。天候や災害の影響を受けやすく、収穫量の予測が難しいのもデメリットです。大雨や乾燥、台風などで作物が被害を受けると、収入は激減します。
需要と供給のバランスが崩れるリスクも高いです。特定の作物が過剰生産されれば、価格が下がり収益も減少します。初期投資を回収できない場合も多いため、長期的な視点で計画を立ててください。
兼業農家の始め方
兼業農家の始め方として、次の4つを理解しましょう。
- 農地を確保する
- 作物を選ぶ
- 農機具や資材を準備する
- 技術や知識を習得する
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農地を確保する
兼業農家を始めるには、まず農地を確保する必要があります。
主な方法は次のとおりです。
- 農地バンク
- 賃貸借契約
- 土地改良区や農業組合
- 市町村の農業振興課
- 他の農家との共同利用
- インターネット検索
農地バンクとは、農地の売買や賃貸の仲介を担う農林水産省の事業です。活用すれば手軽に農地を探せます。農地の賃貸借契約を結べば、購入するよりも低い初期費用で農業を始められます。土地改良区や農業組合に相談するのも手段の1つです。地域の農地情報を豊富に持っているため、最適な農地を紹介してくれます。
市町村の農業振興課に相談することも効果的です。公的機関なので信頼性が高く、安心してサポートを受けられます。既存の農家との共同利用も検討しましょう。自分で農地を持たなくても、他の農家と協力することで農地を利用できます。農地情報はインターネットにも掲載されています。
オンラインで自分に合う条件の農地が見つかることも多いです。
作物を選ぶ
兼業農家として収益性の高い作物を育てるためには、作物選びが大切です。まずは市場ニーズの調査を行いましょう。地元で人気の作物や、高値で売れる作物を把握してください。地域の気候や土壌条件を確認し、自分の土地に適した作物を選ぶことも重要です。初心者の場合は、栽培しやすい作物から始めるのをおすすめします。
経験が豊富であれば、手間がかかる収益性の高い作物に挑戦するのも選択肢です。初期投資や運営コストも考慮しましょう。高価な農機具や資材が必要な作物を選ぶ場合は、手持ちの資金と相談しながら決めてください。病害虫に強い品種を選び、連作障害を避けたローテーションを計画するのも大切です。
農機具や資材を準備する
適切な農機具や資材が準備できれば、農作業を効率的に進められます。
以下を事前に準備しておくと便利です。
- 大型農機具
- 小型農機具
- 散布機
- 用水路や灌漑システム
- 倉庫や冷蔵庫
- 手作業に必要な工具
- 作業着や安全装備
- ビニールハウスや支柱
まず必要になるのは、トラクターや耕運機などの大型農機具です。利用することで広範囲の耕作が短時間で行えます。購入が難しい場合は、レンタルサービスを利用してください。手作業が大変な場合は、種まき機や草刈り機などの小型農機具を準備しましょう。肥料や農薬を散布するための散布機も用意しておくと便利です。
手作業よりも均一に散布できるため、作物の品質を保てます。水の供給を安定させたい場合は、用水路や灌漑システムを整備しましょう。作物がスムーズに育ち、収穫量の増加につながります。収穫物の品質を管理して販売価値を高めるためには、保管用の倉庫や冷蔵庫が必要です。
鍬や鎌、クワなど手作業に必要な工具も揃えておきましょう。作業着や安全装備も忘れずに準備してください。手袋や長靴、帽子は安全に作業する上で不可欠です。ビニールハウスや支柱、ネットなどの資材も事前に購入しておきましょう。
技術や知識を習得する
兼業農家を始めるためには、技術や知識の習得は必須です。
効率的に習得できる場として、以下のものが挙げられます。
- 農業研修プログラム
- JAの講習会やセミナー
- 書籍
- オンラインコース
- 他の農家との交流
- 大学や専門学校
- 農林水産省の研修や講習会
- インターネットやSNS
農作業の流れや実践スキルを学ぶためには、農業研修プログラムへ参加しましょう。地域の農業協同組合(JA)を利用するのもおすすめです。JAは講習会やセミナーを定期的に開催しており、最新の農業技術や市場動向についての知識を深められます。農業専門の書籍やオンラインコースを活用するのも有効です。
基礎から応用までの幅広い知識を自分のペースで学習できるため、時間がない兼業農家に適しています。地元のベテラン農家との交流も重要です。経験に基づく貴重なアドバイスが受けられ、地域特有の農業技術や知識を習得できます。農業を体系的に理解するために、農業大学や専門学校に通うのも1つの方法です。
農林水産省が提供する研修や講習会への参加も役立ちます。インターネットやSNSを活用した情報収集も行いましょう。多くの農業専門家や団体が情報を発信しているため、最新の知識が得られます。
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兼業農家で成功するポイント
兼業農家で成功するポイントとして、次の3つを押さえましょう。
- 費用対効果の良い作物を選ぶ
- 適切な販路を見極める
- 支援制度や補助金を活用する
費用対効果の良い作物を選ぶ
費用対効果の良い作物を選ぶことは、兼業農家として成功するために不可欠なポイントです。需要が高くて高収益が見込める作物を選べば、安定した収益が得られます。
初心者におすすめの作物は、以下のとおりです。
- ミニトマト
- ハーブ類
- 珍しい野菜や果物
短期間で収穫できる作物なら、コストや労力がそれほどかかりません。地域の気候や土壌に適した作物を選び、自然条件を最大限に活用するのも1つの手段です。珍しい野菜や果物など、ニッチな市場を狙った作物も高い収益が期待できます。病害虫に強い品種を選べば農薬の使用が減り、環境にも優しいです。
適切な販路を見極める
販路の見極めは収益性に直結します。
主な販路は以下のとおりです。
- 直売所
- 直販サイト
- スーパーマーケット
- レストランやカフェ
- 宅配サービス
- イベントの出店
- JAを通じた販売
- オンライン販売
地元の直売所での販売には、消費者のリアルな声を直接聞けるメリットがあります。農産物の直販サイトを活用すれば、インターネットを通じて広範囲の顧客へのアプローチが可能です。地元以外の消費者にも商品を届けられるため、販路の拡大が期待できます。地元のスーパーマーケットとの契約も手段の1つです。
供給先を確保できて収益が安定しやすい反面、品質や量の徹底管理が求められます。レストランやカフェへの直接販売も効果的です。農作物の品質を評価してもらえればリピーターの増加につながります。農産物の宅配サービスを利用する農家も多いです。高齢者や忙しい家庭向けのサービスで、定期的な注文が見込めます。
地域のイベントへの出店は販路拡大のチャンスです。JAを通じた販売も検討しましょう。組合のネットワークを利用すれば、広い販売先を確保できます。最近ではSNSやブログを活用したオンライン販売も注目されています。商品や農場の魅力を発信することで、多くの人々に認知してもらえるからです。
支援制度や補助金を活用する
兼業農家を始める際は、必ず支援制度や補助金を活用しましょう。兼業農家を始めるためには、高額な初期投資や運営資金が必要です。農林水産省や地方自治体が提供する支援制度や補助金すれば、経済的な負担を軽減できます。
主な支援制度や補助金は、以下のとおりです。
- 新規就農者支援制度
- 環境保全型農業の支援制度
新規就農者支援制度とは、農業経営の改善計画を作成し、認定を受けることで補助金が受けられる制度です。持続可能な農業を目指す方は、環境保全型農業の支援制度を活用しましょう。大きな初期投資が必要な場合は、融資制度や低金利ローンも検討してください。資金調達が容易になります。
税制優遇措置を利用し、経済的な負担を軽減させるのも手段の1つです。補助金の申請書類は丁寧に準備し、期限は必ず守ってください。申請期限を過ぎると支援を受けられない可能性があります。
まとめ
兼業農家を始める際は、メリットとデメリットを理解して慎重に計画を立てることが重要です。兼業農家には自給自足に近い生活が手に入る一方で、初期費用が高く収入が安定しにくいデメリットもあります。
成功に欠かせないのポイントは以下の3つです。
- 費用対効果の良い作物を選ぶ
- 適切な販路を見極める
- 支援制度や補助金を活用する
以上を踏まえて適切な準備を行い、持続可能な兼業農家を目指してください。
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